pen, life, consolation

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・・・さんを悼む。
最近、そのような見出しの記事を立て続けに切り抜くこととなった。

もともと雑誌や新聞を切り抜く趣味もなければ、それらを保管するファイルなどもない。
ただ、アーシュラ・K・ル・グウィンの死去の報の数日後、
ル・グウィンの『ゲド戦記』を訳した清水真砂子さんによる追悼記事を見つけた時、
そのことを知らせたい友人が、いた。
切り抜いた記事は、他にも知らせたいコラムと合わせて、メールで打ち直して送信した。

友人は去年の夏の始まりの頃、私に『ゲド戦記』を勧めてくれたのだった。
その頃私は、すっかり意気消沈し混迷の日々を送っていた。
朗らかで快活な彼女から、さらりと勧められた『ゲド戦記』を、あの暑い夏、夜な夜な読みふけった。
清水真砂子さんが追悼の記事にも書いていらっしゃるように、
"ファンタジーがふわふわした夢物語でもなければ猛々しい英雄の物語でもなく、
日常を生きる人間の真実にいかに迫れるものかをル・グウィンは実証して見せてくれた。"
そして、あのアースシーの世界の中に、私は逃げ込みもしたし、
現実を生きる原動力を見つけようともした。

看護師を長く務め、その間大学にも入り直して心理学を学び、
その後さらにホリスティック医療の一端をなすセラピーのエキスパートとなった友人と知り合ったのは、
奇しくも(?)私がそのような状況に陥る直前と言ってもよかった。
友人が、その前後の期間を通じてよき理解者でい続けてくれたこと、
そして『ゲド戦記』を読むよう勧めてくれ、あの壮大な物語に魅了されることになったのは、
大げさかもしないが、昨年を生きてめぐまれた 恩寵 だったかもしれない。

もうひとつ。それは石牟礼道子さんを悼む、というもの。池澤夏樹さんが書いている。
池澤さんの訥々としていながらも緻密な語りの中に、
この私にも、石牟礼さんの魂の姿がほんのりと浮かびあがって見えた。
切々としたさびしさと同時に、生のぬくもりやともしびといった感覚が、直接的に伝わってきた。

『苦海浄土』というタイトルの鮮烈さに驚かされてから、年月は流れてしまった。






by raisinsand | 2018-02-12 16:49 | Comments(0)