<   2017年 06月 ( 5 )   > この月の画像一覧

a process of sublimation

c0038561_19225058.jpg



『ほら、ちょうどカメラで色んなショットを撮るように、

あちこちで印象に残った光景のイメージを集めていけばいいんです。

そして自分の中から「ヴォイス」が聞こえてくるのを待ってから、

集めたイメージを繋いでいけば、

一つのストーリーができるんです。』


    ― 無意識との対話, 町田宗鳳


c0038561_19261581.jpg



c0038561_19264654.jpg




(旧 閏皐月七日 戊子)
by raisinsand | 2017-06-30 19:28 | Comments(0)

the sound of a murmur

c0038561_2173651.jpg


梅雨の雨音らしく、しとしと静かな雨垂れの音が、
窓にほんの隙間を作ったところから、よく部屋に入ってきて、
それが朝の目覚ましとなりました。

目は寝たまま、耳だけ先に起きて聴きいっていたら、
雨音が次第に細やかになっていき、
それが渓流のせせらぎの音に変わっていました。
すごいな、いい音だな、
と思っているうちに、そのまま二度寝を誘われて。
雨の朝は気をつけないと、つい眠りすぎてしまいます。

夏至も過ぎて、新月も過ぎました。


c0038561_21173522.jpg



(旧 閏皐月二日 癸未)
by raisinsand | 2017-06-25 21:20 | Comments(0)

a turning point

c0038561_8414312.jpg


その本を友人から借りたのは3月末だったから、
読み終えるまで、3ヶ月近くかかったことになります。

巻末の解説を読み、そこに書かれていることとの相似形を
自分の内に感じました。

『転形期にあってはいつも、
世の中の秩序、約束事は、すべて一度、無と化す。
そしてその真空と混沌のなかから、
次の世界の秩序、新しい約束事が急激に立ち上がってくる。
ゲーテはその生涯を通じて、
そうした転形期の真空と混沌と変化をわが心と身体で
誰よりも深く体験した。
そしてそのことがゲーテの視野と思考を大きく深いものにした。』
(ファウスト Faust I・II, J・W・ゲーテ, 柴田翔=訳)

すでに内在していたものを表出させるトリガーを引く、
という、来るべき時が来て、
これまで何とか折り合いをつけ均衡を保っていた心が
内へ向かって崩れ落ち、
その先で、空虚と愚かしさを見出すしかなかった日々。

その間読んだ『生きるとは、自分の物語をつくること』(河合隼雄・小川洋子)にはまた、
こう書かれていました。

『死に続く生、無の中の有を思い描くこと、
つまり物語ることによってようやく、
死の存在と折り合いをつけられる。
物語をもつことによって初めて人間は、
身体と精神、外界と内界、意識と無意識を結びつけ、
自分をひとつに統合できる。

人間は表層の悩みによって、
深層世界に落ち込んでいる悩みを感じないようにして生きている。
表面的な部分は理性によって強化できるが、
内面の深いところにある混沌は論理的な言語では表現できない。
それを表出させ、表層の意識とつなげて心を一つの全体とし、
さらに他人ともつながってゆく、そのために必要なのが
物語である。』

崩れ落ちた地には、もはや道など見えない。
被害意識と甘えの投げやりな気持ちに苛まされながらも、
これらの読書から、
自分に必要なプロセスへの指南を見出した思いでした。

すべてはそうなるべくして起っているのです。
受け入れられないとか、想定外とか、
そんな次元の話ではないのです。

ある種の破壊を経験したのなら、
そこからある種の創造も経験できるということでしょう?
もういい加減、今年の夏至という転換点がやってきたのですからね。
そう自分に葉っぱをかけながら、このブログを書いています。

さて。

そんな日々を送りながらも、
ささやかな楽しみを手放すことは、さすがにできませんでした。
それはやはり、"お茶のひととき"でした。

ディンブラ・デスフォード茶園(青山ティーファクトリー)は、
その'飲み応え感'と、飽きの来ないふくよかな香りに、
いつも満足しています。
恵さん、ありがとうございます。

あんこを炊いて、あんトーストモーニングにした日も、
幾つか焼き菓子をこしらえて、アフタヌーンティー風にした日も、
このディンブラで紅茶を淹れました。
c0038561_842573.jpg



c0038561_8431390.jpg



c0038561_8433081.jpg




(旧 皐月二十七日己卯 夏至)
by raisinsand | 2017-06-21 08:40 | Comments(0)

the sound of the ocean

c0038561_2161294.jpg





千本浜...


久しく聞いていなかった声が微かに響いた。

夕暮れ時、ふとそんな気が起きて、

夏至も間近の夕日を眺めに、出かけました。


車を降りて防波堤を上ると、

目の前に広がる海景よりも先に、

引いては寄せる波の、さらさらとやわらかな音に、

心を奪われました。

玉砂利のこの浜で、こんなに心地よい音を聞いたことがあったろうか。

そわそわと落ち着かない気持ちのまま、波打ち際まで歩きました。

足の裏には石ころのゴロゴロとした感触。

潮の香りも懐かしく、

次第に久しぶりの浜辺にも慣れることができて、

日の沈むまで、波音と涼しい微風を味わいました。



(旧 皐月二十五日丁丑)
by raisinsand | 2017-06-19 21:42 | Comments(0)

Alfons Mucha exhibition

c0038561_9184966.jpg





プラハからやってくる展覧会、
ということへの微かな思い入れは
最終日まで続きました。

訪ねてみましたら、入り口には長蛇の列。
70分待ちとあり驚きましたが、並びました。
その間、行列をなす同志たちを観察したり、
あらためて美術館の建物を眺め回したり。



c0038561_9222772.jpg



展示室は人で溢れかえっていましたが、
それはどうでもよいことでした。
壮大な画面を前に、ただ雲を掴むような心持ちとなり、
近くで見入り、遠くから眺めました。
それらは皆、うっすらと靄がかかっているように見え、
仄かに発光しているような箇所をもっていて、
その美しさに魅せられました。

生と死、悲哀と美、混沌と調和の長い歴史を、
ひとつの物語として、
叙事詩という作品群に昇華させた画家の、
斬新さと緻密さ、その挑戦に、驚嘆するばかりでありました。


写真は、撮影が許可されていた作品の一部と、
美術館のホールに展示されていた、
プラハからやってきたマリオネット。


c0038561_9382834.jpg







c0038561_10375412.jpg








c0038561_9385561.jpg








c0038561_940776.jpg



(旧 皐月十二日 甲子)
by raisinsand | 2017-06-06 14:13 | Comments(0)