handsome is that handsome does

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『・・・物を物以上に生かし、
日常の些事にわたって何一つおろそかにせず、
人々の暮らしを愛で、
天啓という次元にまで物を引き上げていった。

私が次第にその思いを募らせ、
松園の器量の深さに畏敬をもつようになったのは、
「夕暮」「晩秋」などの後期の作品によってである。

松園の描いた女性はいずれも既に古典の領域に入り、
あきらかに現代の女性とは一線を画している。
もうどこにも松園の描く女性はいないといっていい程である。
ことに青眉という今の我々にとっては少なくとも奇異な風習を、
闇夜の蚊帳にとまった一瞬の蛍にたとえて賛美している。
たしかに松園の描く青眉の婦人は、
松園自身の言葉をかりるまでもなく、
ふるいつきたいほど美しい。


志村ふくみさんの文章を読むにつれ、
わたしの中にも思いが募りました。
ちょうど五島美術館で「近代の日本画展」が開催中で、
松園の絵が展示されていると知り、
足を運んだのでした。

『・・・こまやかな精気の波動をうけるにこの上もなく敏感で、
厳しい修練の繰り返しの上に研ぎ澄まされた感性を生かして、
ほぼ完璧に近い画面構成をつくり出している・・・


志村さんの文章に誘発され、
美の高み・極みの一端に、微かにでも触れることができれば、
と思い至ったのですが、
美術館にて他の画家の作品に混じって展示されていた
「上臈の図」「月下佳人」の貴婦人を前に、
しばしの間、夢見させて頂きました。

(旧 卯月二十一日己酉)
by raisinsand | 2016-05-27 23:21 | Comments(0)
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